インターンシップや面接、会社説明会など、就活の準備を進めていく中で「就活マナー」は無視できない要素です。
就活マナーは、社会人としての基本だけでなく、「相手を不快にさせないための思いやり」でもあります。
正しい就活マナーを身につければ、企業側にも好印象を与えることができますよ!
本記事では、面接で好印象につながる就活マナーで実践したい5つのポイントと、よく使う言葉遣いや服装についてご紹介します。
就活マナーはなぜ必要なのか
就活マナーってなんで必要なんだろう?
就活生にとって悩みの一つである「就活マナー」ですが、「相手を不快にさせない最低限の思いやり」としての行動ができるかを評価している企業も少なくありません。
最近ではオンライン面接(WEB面接)を導入している企業も増えていますが、面接の手段に限らず、就活マナーは重視されています。
まずは、就活マナーの必要性について、面接状況の現状や企業が就活を重視する理由をもとに見ていきましょう。
オンライン面接(WEB面接)と対面式の面接の実施状況
2020年2月頃より日本でも猛威を振るい始めた新型コロナウイルス感染症の影響により、WEBツールを使ったオンライン面接を導入した企業も増えています。
マイナビの調査によると、2021年4月に就活生が受けた面接のうちオンライン面接が占める割合は80%前後にのぼる結果となりました。
出典:2022年卒 学生就職モニター調査 4月の活動状況
※調査期間:2021年4月26日~4月30日
※回答者数:2,228名
しかし、企業側は、最終面接では61.6%の割合で、対面式が適切という意見がとなっていることもあり、前年よりは対面式の面接の割合が増加しているようです。
そのため、対面式の面接に備えた就活マナーをきちんと身につけておく必要があります。
また、対面よりも人柄や雰囲気が伝わりにくいオンライン面接でも、好印象を与えるために正しい就活マナーは欠かせません。
就活マナーは「相手を不快にさせない思いやり」
「就活マナーは面接に必要なもの」と考える就活生も多いかもしれませんが、そもそも「マナー」とは、「相手を不快にさせない思いやり」のことです。
ビジネスの世界は年齢・性別・経験・価値観の異なる人たちで構成されており、社会生活や人間関係を円滑に保つためには、相手への配慮や思いやりが求められます。
つまり就活マナーは「明文化されたルール」ではなく、他社相手との良好な関係を築いていくためにも必要不可欠なのです。
企業側が就活マナーを重視する理由
企業側にとっても、従業員の評価が会社の見られ方に影響するため、採用候補者がビジネスマナーを兼ね備えているかどうかは重要視するポイントです。
例えば、営業担当者として顧客とうまくリレーションを築けていけるか、また社員とのコミュニケーションに問題はなさそうか、といった点を見極めます。
就活マナーだけで合否が決まるわけではありませんが、相手への思いやりが伝わりプラスの印象を与えられるでしょう。
面接で実践したい5つの就活マナー
就活マナーの必要性が理解できたところで、続いては面接で実践したい5つの就活マナーをご紹介します。
1. 面接当日の受付は10分前に済ませておく
面接当日は会場に早めに到着し、10分前には受付を済ませておきましょう。時間を守ることはビジネスにおいて最低限のマナーです。
会場に着いたら大学名、氏名、要件を伝えます。
【受付の対応例】
「お忙しいところ失礼します。本日、〇時から面接のお約束をさせていただいております、〇〇大学の〇〇〇〇と申します」
受付で要件を伝える際は、「すみません」ではなく、「お忙しいところ失礼します」や「恐れ入りますが」と声をかけると丁寧な印象になります。
2. 待機時間は会社の案内に従う
受付を済ませるとすぐに面接が開始されるわけではなく、多くの場合、控室や面接会場の近くにある待機場所に案内されます。
待機中も面接を受ける会社の社員や関係者の目もあるので、大声で話をしたり周りに迷惑をかける行動はやめましょう。
スマートフォンをいじるのがダメな場合もありますので、会社の案内に従って過ごしましょう。
3. 入室時はノックをし、声かけ後に着席する
面接会場に案内されたら、いよいよ面接本番です。入室時の印象は面接内容に影響を与えるため、丁寧に入室することを心がけましょう。
ノックから入室までの流れは、次の通りです。
- 2〜3回ドアをノックする
- 「どうぞお入りください」などの案内を待つ
- ドアを開けて入室する
- 着席前に挨拶をする
ドアがない場合やすでに空いている場合はノックをせず、「失礼いたします」と声をかけて確認します。
入室した後は、自分が座る椅子の横まで進み、立ったまま「〇〇大学の〇〇です。本日はよろしくお願いいたします」と挨拶をしてお辞儀をしましょう。
面接官から「どうぞお掛けください」と案内があったら、「失礼します」と言って椅子に座ります。
4. 面接中は適切な言葉遣いでゆっくり話す
面接中は言葉遣いや受け答えなど下記ポイントに気を配りましょう。
ポイント
- 適切な言葉遣い
- 声はゆっくりと大きく
- 相手の目を見る
- 発言するときは相手が話終えるまで待つ
話し方は印象を決める重要な要素です。どれだけ良い話をしても言葉遣いの印象が悪ければマイナスイメージを与えてしまいます。
面接で必要な言葉遣いは「就活の面接で知っておきたい基本的な言葉遣い」でも解説しているのでご参考ください。
また、発言するときは相手の話が終わったら、少し間を開けて答えるようにすると「しっかり話を聞いてもらえる人だ」という印象を与えることができます。
5. 退室前にお礼と挨拶を忘れない
退室前には下記のタイミングでお礼と挨拶をしましょう。
- 面接終了の旨が伝えられたとき
- 荷物を持ち席を立つとき
- 退室するとき
「本日お忙しい中ありがとうございました」や「失礼します」などの言葉と合わせてお辞儀をしてから退室します。
就活の面接で知っておきたい基本的な言葉遣い
就活では「ですます調」の敬語で話すことが基本ですが、正しい言葉遣いを身につけることで、面接官にも好印象を与えることができます。
ここでは、面接でよく使う謙譲語、尊敬語、そして間違った敬語の例について見ていきましょう。
面接でよく使う謙譲語
謙譲語は、自分の動作をへりくだって表現し、相手への敬意を示す敬語のため、面接でよく使われる言葉遣いです。
正しい使用事例を見ながら押さえておきましょう。
会う→お会いする
御社の鈴木社長にはお会いしたことがあります。
御社の鈴木社長にはお会いになったことがあります。
言う→申し上げる
先ほど申し上げました通り
先ほど言ったように
もらう→いただく
貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。
貴重なお時間をもらい、ありがとうございます。
行く→参る
明日の◯時に、御社に参ります。
明日の◯時に、御社に行きます。
がんばる→努力する
貴社にとって相応しい人物になるべく努力いたします。
貴社にとって相応しい人物になるべく努力します。
知る→存じ上げる
田中様については存じ上げません。
田中様については知りません。
見る→拝見する
資料は拝見しました。
資料は見ました。
わかる→かしこまる
はい、かしこまりました。
はい、わかりました。
聞く→伺う
キャリアパスについて伺ってもよろしいでしょうか。
キャリアパスについて聞いてもよろしいでしょうか。
面接でよく使う尊敬語
尊敬語とは、相手の動作を表現するときに使い、相手に敬意を示す言葉です。
面接では自分ではなく、相手の動作に対しての表現になります。
教える→ご指導
ご指導いただきありがとうございます。
教えていただきありがとうございます。
思う→お考えになる
そのようにお考えになるのはごもっともです。
そのように思われるのはごもっともです
言う→おっしゃる
佐藤様がおっしゃるように
佐藤様が言うように
する→なさる
ボランティアとして活動なさっているのを見て
ボランティアとして活動しているのを見て
見る→ご覧になる
エントリーシートをご覧ください。
エントリーシートを見てください。
面接で使いがちな間違った敬語
敬語を二つ重ねる「二重敬語」は、最上級の敬語表現となり、一般的なビジネスシーンでは使わない表現になります。
面接で使いがちな間違った敬語について、注意しながら見ていきましょう。
後で→後ほど
後ほどご連絡します。
後で連絡します。
ちょっと→少々
少々お待ちください。
ちょっとお待ちください。
すみませんが→恐れ入りますが
恐れ入りますが、もう一度お願いいたします。
すみませんが、もう一度お願いいたします。
大丈夫です→問題ございません
◯月◯日の◯時からで問題ございません。
◯月◯日の◯時からで大丈夫です。
【二重敬語】おっしゃられる→おっしゃる
社長のおっしゃることに共感いたしました。
社長のおっしゃられることに共感しました。
【二重敬語】お伺いする→伺う
◯日の◯時に伺います。
◯日の◯時にお伺いします。
就活の面接で好印象を与える服装とは?
相手に失礼のない身だしなみで面接に臨むことがマナーの基本です。
就活マナーだけで合否が決まるわけではありませんが、相手への思いやりが伝わりプラスの印象を与えられるでしょう。
清潔感だけでなく好印象につなげるためにも、最適な服装の基本を抑えておきましょう。
【男性編】面接の服装選びのポイント
リクルートスーツを着れば清潔感も出るし、それだけでもいいのでは?
「リクルートスーツを着れば清潔感が出る」と考えている就活生もいるかもしれませんが、ただスーツを着るだけでは好印象になりません。
社会人として相応しい服装であるかをチェックされるため、ネクタイの色やコートの色などのコーディネートにも気を遣うことが必要です。
1. スーツは無地で落ち着いた色
スーツの色は、ブラックやネイビー、グレーなど落ち着いた色で、無地のデザインが無難です。
「オシャレがしたい」「目立ちたい」という人も中に入るでしょう。個性の多様性を尊重する企業ではスーツの色は選考に影響しないこともあります。
企業の雰囲気や社風を理解した上で判断してください。
その他のポイント
- 自分の体型に合っているサイズ
- 裾丈や袖丈が長すぎず短すぎないサイズ
- 汚れ・しわ・ほつれ・しつけ用の糸の確認
-
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2. シャツは白でレギュラーカラーが一般的
シャツは白色が一般的です。清潔感だけでなく、顔周りに白をおくことで、顔色をよく見せてくれます。
また、襟にはレギュラーカラー、ワイドカラーの種類がありますが、体型に合わせて選ぶと、より見た目の印象をアップできます。
その他のポイント
- 首周りは一番上のボタンをかけて、指1本程度の余裕がある大きさ
- ジャケットから袖丈が出すぎない長さ
レギュラーカラー(一般的) | ワイドカラー(ガッチリ体型) |
3. ネクタイは落ち着いた色を選んで汚れに注意
ネクタイは、ネイビー、ブルー、エンジ、グレーなどの落ち着いた色で、一番太いところの幅が7〜8cmのものを選びましょう。
また、デザインは無地、ストライプ、チェック、ドットなど、小さめの柄を選ぶとフレッシュな印象を与えることができます。
淡い色のネクタイは結び目など指で触れる場所に汚れが目立つため、着用時にチェックしておきましょう。
4. コートとマフラーはダーク系の色でスーツと合わせる
コートとマフラーは落ち着いたダーク系の色を選び、スーツや靴とコーディネートされていると真面目ですっきりとした印象を与えます。
長すぎるとだらしなさを感じてしまうため、膝上までのものを目安に選びましょう。
【女性編】面接の服装選びのポイント
女性用のスーツには、ベージュやホワイトなどのおしゃれさを備えたアイテムもありますが、面接マナーとしては相応しくありません。
就活では「おしゃれ」さよりも清潔感、社会人として相応しい服装という視点で選ぶことが大切です。
1. スーツはダーク系の色がベスト
スーツの色は基本的に、ブラック・ネイビー・ダークグレーなど落ち着いた色を選びましょう。特に肩幅のサイズに注意して、体にフィットしたスーツを選ぶと印象が良くなります。
また、スカートは起立した状態でひざが少し見える程度が適切な長さです。ズボンの場合は、裾丈が長すぎず、短すぎない長さに仕立ててもらいましょう。
スカートとパンツのどちらでも問題ありませんが、パンツは活動的な印象を与えるので、業界や業種などによって使い分けることもおすすめです。
2. ブラウスは白色が基本
就活の面接のブラウスは白色が基本です。
襟にはスキッパーカラーとレギュラーカラーの2種類がありますが、与えたい印象や顔の形で選ぶと良いでしょう。
活動的な印象を与えたい、丸顔タイプ | 真面目な印象を与えたい、卵型や面長タイプ |
スキッパーカラー | レギュラーカラー |
・活動的な印象を与えたい、丸顔タイプ→スキッパーカラー
・真面目な印象を与えたい、卵型や面長タイプ→レギュラーカラー
襟幅が3〜4cm以内であれば、スーツの外に出さず、それ以上のサイズであれば外に出すのが基本です。
3. コートやマフラーはシンプルなデザイン
コートとマフラーはベージュやダーク系の落ち着いた色であれば問題ありません。
デザインは無地やチェック、ストライプなどの落ち着いたものが無難です。
繊維が抜けやすいものはスーツに付着して不潔な印象を与えるため、避けた方が良いでしょう。
4. パンプスの色はブラックなど落ち着いた色
パンプスの色はフォーマルな印象を与えるブラック、ヒールは安定感がある太めのもの、そして高さは3〜5cmのものを選びましょう。
デザインは、シンプルなつま先が丸めの装飾がないプレーンタイプで、ヒールが苦手な方は甲にストラップがついたものがおすすめです。
履く前にしっかり磨いて汚れを落とし、踵が擦り減っていないか、などをチェックしておきましょう。
面接で役立つ就活マナーQ&A
就活マナーをしっかり理解したつもりでも、いざ面接を迎えると疑問に感じることも出てくるでしょう。
ここでは、知っておくと役に立つマナーをQ&A形式でご紹介します。
Q1. 面接でコートを脱ぐタイミングとマナーは?
コートを脱ぐタイミングは、面接会場の建物に入る直前です。
ビルであれば、ビルに足を踏み入れる前にコートは脱いで畳んで片腕にかけておきましょう。日本らしい配慮や気配りからくるものなので、面接会場に到着する前に脱いでおけば問題はありません。
コートを畳むときは、外の汚れを室内に持ち込まないためにも、裏地が表に向くようにするのが一般的です。
面接の部屋に入ってからコートを脱ぐことは好ましくないため、必ず建物に入った時点で脱ぐようにしましょう。
Q2. 面接で座る位置は決まってる?
椅子が複数ある面接室に案内された場合は、下座に座るのがマナーです。
下座とは入り口に近い場所の席であり、ドアから遠くなればなるほど上座になります。特に指示がなければ、ドアに近い下座に座るようにしましょう。
また、ソファー席の場合は、長いソファーが上座、一人がけソファーが下座になります。
椅子とソファーセットの場合で下座の位置が異なるため、場面に合わせて対応できるようにしておきましょう。
Q3. 面接中に質問内容を聞き返しても良い?
面接中に質問を聞き返すことはマナー違反にはなりません。質問を聞き取れなかったのにも関わらず、無理に答えてしまう方が印象が悪くなります。
「すみません。質問を聞き逃してしまいました。もう一度お願いできますでしょうか」と正直に伝えましょう。
まとめ
今回は、面接で好印象につながる就活マナーで実践したい5つのポイントについてご紹介しました。
就活マナーは相手を不快にさせない思いやりであり、社会生活や人間関係を円滑に保つためにも必要になるスキルです。「社会人として相応しい行動ができるか」という視点から、就活マナーを重視する企業も少なくありません。
本文中で紹介した面接における就活マナーは、社会人になっても活用できるマナーなので、面接で実践できるように身につけておきましょう。
就活生の皆様の面接が成功することを願っています!